巣山古墳出土の木製品
 最近広陵町教育委員会は、巣山古墳の発掘調査を継続的に行い、非常に関心ある発掘結果を公開されています。大王墓に匹敵する200m級の当古墳は、我々の目前にその姿の一端を見せ始めてきました。

 2006年2月に同教育委員会が当古墳の周濠から出土した大型木製品を一般公開して、それらの木製品は古代葬送儀礼に使用された「霊柩船」(写真1・2)と「長持形木棺」の蓋(写真3)の各一部ではとの見解を発表しました。

写真1

写真2

写真3
 ゴンドラ形の「霊柩船」をイメージさせるのは(図1)、福岡県うきは市吉井町の珍敷塚(めずらしづか)古墳(写真4)や同じく吉井町の鳥船塚(とりふねづか)古墳の石室奥壁の壁画(図2)に見られます。

図1(読売新聞 2006/2/23)

写真4

図2
 木棺の蓋の一部という見解に対し、橿原考古学研究所から「準構造船の波切り板」(図3)ではないかとの見解が出されました。この推論の根拠は、大阪市平野区長原高廻り2号墳(4世紀末)などで出土している「舟形埴輪の波切り板」(写真5)と酷似していることにあります。

図3(読売新聞 2006/5/8)

写真5
 長持形木棺であれば、長持形石棺の制作過程において非常に重要な資料となります。葬送儀礼に準構造船を使用しとことになると、この古墳の被葬者の性格を考察するのに大いに興味ある資料になり、今後の活発な議論が期待されます。(吉野記)

*準構造船
 丸太をくり抜いて造った丸木舟に竪板(たていた)や舷側板(げんそくばん)等の部品を組み合わせて造られた船